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流刑島・特上東南戦

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淀んだ終着駅に佇む終電。

彼はここ『流刑島・特上東南戦』において、

200戦以上もの時をを六段R2050で過ごしていた。

ただひたすら、刑期の終わりを数えながら。

 

 

かつて彼は、栄華の極みを誇る鳳凰卓において、八段R2250という戦績を誇っていた。

周囲からも一廉の者と見做された彼は、まさしく豪奢の限りを尽くした。

2軒リーチをゼンツで躱し、ラス1ドラ単騎をツモりあげ、横移動で棚ぼたトップを得る…

そんな自由気ままで簡単な生活が、これからもずっと続くと思っていた。

 

 

突然の凋落。

運量最底辺と化した彼は、安定段位7を下回り、島流しとなったのだ。

かつて鳳凰東風戦で二度追放された彼にとって、鳳凰東南戦においても都を追われることは、これ以上ない屈辱に他ならなかった。

 

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…そうだ。

伊達に都の戦禍を生き延びてきたわけじゃない。

山にいるか保証のない47p。和了率最大に受け3900の加点を喜んで受け入れる。

俺は3度の都暮らしでリスクヘッジを学んだ。

 

 

 

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迎えた100点差のオーラス。

ここにいる者は大半が俺と同じ成れ果てだ。

未だ芽吹きを見せぬ忍従の者もいる。

鳴くというのなら徹底的に絞ろう。

 

 

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だからこそ、この俺が遅れをとるはずがない。聴牌バックで戦える。

しかし気持ち悪いピンズの場況…溢れる対面の1pと西対子…

9pの在り処は引き算からして対面か王牌しか考えられない。さすがに潮時か…

 

 

 

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否だ。

脇が1枚も出していないということは両者ともピンズを相当数抱え込んでいる公算が高い。

その中で“西を二枚落としながら有効牌を二連続引き12000の門前聴牌が入り尚且つ9pで和了”…

確率からしてあまり現実的とは思えない。

対面の対子落としの正体は『上位二人の僅差を見て、両者聴牌読みの続行期待での降り』だ。

対面よ。勇敢なる選択肢を称えよう。貴公もまた諦めることのない、一廉の者であると。

 

 

 

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あっ

 

 

………

 

 

 

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ああ、そうだったな。

俺はリスクヘッジのために3900をあがったんだっけ。

親は確実に聴牌。次局続行してもいずれにせよ2着率は5割程度。

どうして初志を貫かなかったのか。何を学んでいたのか。

 

 

放銃率.137、4位率.246……

9000戦の過去が、歴史が、四段時代の怨念が刻んだ確固たる罪状。

突きつけられた罪は余りにも重い。

 

 

これは俺だけの罪。

俺だけのラス。

贖うまで決して許されることはない――

 

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